一二三四五六七

その時に感じたことを書きたいです。

『トライアンソロジー ~三面鏡の国のアリス~』感想

『トライアンソロジー ~三面鏡の国のアリス~(07th Expansion(同人)) (2016-08-31)』コンプ。

プレイ時間は12時間ちょっとくらいだったと思います。

ボイス無しのゲームなので、感覚的には結構がっつり読んだかなという印象です。

 

特筆すべきは、やはりナカオボウシさん手掛ける演出ですね。

 

もうね、むっちゃ動きます。E-moteとか3Dとかではなく、なんというか「ノベルゲームの中で出来る最大限、ノベルゲームとして動きを持たせている」って感じです。

まぁこればっかりはナカオボウシさんが演出した作品をやってみないとなかなか伝わりにくいと思うので、興味のある方は本作でもやってみてください。3000+税でこの演出が体験出来るのなら、ある程度満足出来る選択肢ではないかと思います。

 

(本作やりたくけどナカオボウシさんの演出には興味アリ!って方には、氏が代表を務めるサークルの「W-standard, Wonderland Lv.1」がオススメです。まだ完結していないんですけどこの段階でも十分面白かったですし、演出も凝っています。)

 

 

 さて、ではズバリ本作が面白かったかどうかなんですが、個人的には「まぁそこそこ面白い部分もあったかなぁ」、くらいです。

全体的に素材自体は悪くなく、演出という名の最高の調味料もあったのに、如何せん肝心のシナリオや構成という調理方法が追いついていなかったかな~と。

 

ライターの言いたかったであろうこともその熱量も伝わってはくるんですが、全体を通してみると話題が二転三転するので、ちょっとブレてしまったという印象が拭えないです。一つ一つに対する掘り下げが十分には丁寧でなかったというか。ひとことで言うと、「なんか惜しい」って感じです。 

 

ここからはネタバレありで、適当に少し掘り下げて箇条書きでお送りします。

 

ついでに言っておきますが、自分は別に竜騎士さんのファンでもなんでもないです。

『ROSE GUNS DAYS~ベスト盤~』のついでに買っておくか~、くらいの軽~い気持ちで特にシナリオには期待もせずに本作をやりました。(ナカオさんの演出には期待してました。)

 

なので、竜騎士さんのシナリオの特徴や癖についてあまり知らないですし、それを理解していない人間の感想だということを一応断っておきます。

 

・異なる3つの物語が1つに繋がっていく楽しみ...?

 

ひとつ、「のどかな田舎の世界」
…田舎育ちの仲良し4人組が高校進学を機に見事なまでに変わってしまった青春ドラマ。

ふたつ、「キラキラと輝く都会の学園世界」
…ちょっぴり怠惰な主人公が夏の終わりに「伝説の勇者」になっちゃう学園を舞台にしたドタバタ恋愛モノ。

みっつ、「遠い未来の戦争の世界」
…未来編では、人類と類人猿型宇宙人がファーストコンタクトに失敗、
全面戦争へと発展した世界の、あるところで繰り広げられている戦場を描いたハードSF!?

―――これは“腸裂きのアリス”と呼ばれる残酷な魔女が紡ぎだす、3つの世界をめぐるお伽噺…

場所や時代がまったく異なる世界で語られる3つの物語。
全てを目にした時、新たに開かれる未知なる体験をとくと堪能くださいませ!!

とらのあなWebsiteより引用)

 

このあらすじを読んで、 「田舎の青春ドラマ」と「ドタバタ学園ラブコメ」と「ドンパチ未来バトル」という全く異なる3つの物語がどのようにして一つの物語に収束していくのか、という部分をとても楽しみにしていました。ぶっちゃけかなりワクワクしていました。

 

というのも、「一見異なるように見える物語群が、実は現実世界でのある出来事を示唆していて...」という話には、面白くなるものが多いと個人的に感じているからです。(某館とか

 で、その際の面白さを決定する要素に、大きく分けて次の2つが挙げられると思います。

①完結する個々の物語自体の面白さ

②異なる物語群にどのような繋がりを持たさせて一つに纏めるか

 

①と②はある種トレードオフの関係になっていると思っていて、あっちを立てればこっちがあんまり立たずになるからこそ難しく、その分両方を上手く描いた時のリターンが大きいです。

 

結論から言うと、本作は①はまぁまぁで、②はてんで駄目でした。

正直かなりガックリ来るレベルで②の方が駄目でした(´;ω;`)

 

「ベスピオ2438」と「カントリーガアル」の序盤は結構好きだったんですけどね...

「学園恋愛(と呼ぶにはおこがましい)アドベンチャー」は微妙でした。

 

・3つの物語の纏め方のどこが駄目だったの?

 

3つの物語でグルグルと輪廻を形成しているだけで、作品内主体の現実世界へ影響があるように感じられなかったからです。

 

「ゲームや漫画といったコンテンツに飽きては次へ、飽きては次へとするプレイヤーを表している」、というのは確かにそうで、そういう意味ではプレイヤーの現実世界へは訴えかけてきます(とはいえこれも真新しくない使い古されたメタ的な説教)。

 

けれども肝心の、作品内の主体であるアリスに対して、その3つの物語の繋がりは特に意味を持たないように思います。

結局アリスは引きニートだったわけですが、あの物語群を見て一歩踏み出すようになるのは理解不能でした。

 

「自分で積極的に選択することが大事」だったのであれば、アリスが自殺という選択をした時点で終わっていれば一番のHappyENDだったと自分は思います。

 

何故かと言うと、結局のところアリスにはドアの外に連れだしてくれるようなモノが無かったからです。そんな者も居なければ、そんな物もなかったはずです。

もしアリスが読んだ3つの物語がそれに該当するというのが作者の意図であったのならば、それは自分にとってはズレたもののように感じられました。

 

一応、ペイントで書いた世界一わかりやすい図解を置いておきます(*^^*)

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あ、あと3つの物語を繋げるための情報の出し方もかなり下手でした。

あんな唐突に作者の都合でその時点で出したい情報だけをを出すのも厳しかったです。物語が一区切りついて、ドヤ顔でアリスがカケラの関係性を解説しだすのも...

 

説教の内容自体はまぁ人それぞれ感じ入るものが違うでしょうから掘り下げませんが、特には響かなかったです。アリス自殺でENDならあるいは...

 

成長理由が理解不能なのに勝手に更生して自分の元から飛び立たないでほしいです。

 

・良かった点

 

なんか不満点ばっかり書いちゃったので、良かったところも挙げておきます。

 

まず、一番は演出です。文句なしです。

 

次は、頑張れなくなった人間のお話があったことです。

もう一度頑張れるようになるまでの過程がもう少し丁寧で共感できるものであったらそれだけで満足できただけに残念です。

 

最後は、ベスピオ編のB級感あふれるやりとりです。作中では唯一の清涼剤でした。

 

おわり。

 

 

 

『銀色、遥か』感想

『銀色、遥か (tone work’s) (2016-08-26)』コンプ。

プレイ時間自体はめちゃくちゃ長くて35hくらいなんですけど、ほとんど飽きずに全√プレイできました。満足感と感謝しか無いです。

彼と彼女の、色々な人生を見届けることが出来て本当に嬉しく思います。

 

ーーー君と初めて過ごした冬。そして、10年後に過ごす冬。

中学生編、学園編、アフター編と三部構成で描かれる、まばゆい恋の物語。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー 

プレイ時間は35~40時間ほどで、結構な分量でした。ボイス有りです。

 

中学編というエロゲでは珍しい時間軸から10年という長いスパンで物語を描かれていることで、主人公とヒロインとの色々な人生を見届けることが出来ました。

EDムービーが卑怯で、普通にだいたい泣いていました。中盤にも挿入歌がかかる場面でも盛り上がりがあって、そこでも泣いてましたね。

 

物語の始まりを予感させ、距離を近づけてゆく中学編

彼女と心を交わし絆を深めてゆく学園編

彼女と契りを結び一緒の人生を過ごしてゆくアフター編。

どの√もとても丁寧で、そのヒロインとだからこそ歩める人生だと強く実感出来ます。

 

さっきから人生、人生言っていますが、この作品をプレイしての正直な感想が

「『銀色、遥か』は人生。」

なんですよね。

 

もう少し正確に言うと、

 

「自分の人生に影響を及ぼすような強いものはないが、『銀色、遥か』では主人公とヒロインとの若いうちの一生が描かれており、それを見届けることが出来て自分は良かったと思う。」

 

という感じです。

 

メッセージ性とかそういう強いものはないんですが、あれは確かに人生でした。

 

どういうところが特徴的だったかというと、 一番は、

主人公に決まった夢がないため付き合うヒロインとの関り合いによってやりたいことが決まり、ヒロイン毎に就くことになる職が異なる、という点ですね。

 

このことによって、そのヒロインと付き合うことで歩むことになる将来という意味付けが為されていて、そのヒロインとの人生"だからこそ"という感覚が新鮮でした。

 

そのせいで主人公万能すぎだろ、みたいな意見も出てるみたいですけど、コンセプト単位での仕掛けなので已む無しであり自分的にはOKという感じです。

また、物語に起伏がなさすぎるという意見も分からなくはないんですが、「人生にそんな起伏なんてあまりない」ことを思えば、コンセプト上の許容範囲内でした。

日常が数ヵ月単位飛んで描かれるのも、長いスパンで描くかつ人生に起伏はそんなにないという点からも、コンセプト的に仕方ない範囲かなと。

 

あと、このブランドの作品の例に漏れず、BGMも歌曲もとても素敵でした。

特に、EDムービーはどれも非常に良かったですね。個人的にべスリー√のが一番です。

挿入歌「夢の季節」とED「beloved story」「ヒマワリ」もかなりお気に入りでした。

ここ最近毎日『銀色、遥か Vocal Collection』を聴いては思いを馳せています。

 

 

 

 

詳しい感想については後日また書きたくなったら書きたいと思います。

まぁなんとか気力を振り絞って頑張りたいですね。

爆速で駆け抜けて新作の感想を書くのもやってみたいことのひとつだったので。

 

短いですが、一つモヤモヤしてることがあるので少しだけ。

ちなみに、ver1.01でプレイしたので1.02では修正されてるかもしれません。

 

某√最後のキャプチャ画像を見て下さい。

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上の画像、二行目に「never lasting love story」とあります。

これがどのような意味であるかは、作中の文脈から「ずっと終わらないラブストーリー」だと判断されます。

これは、ED曲「beloved story」(めっちゃ好き)の歌詞に「ずっとずっと終わることないnever lasting love story」とあることからも分かります。

 

さて、なにが言いたいかというと、「ぶっちゃけその英語間違ってないか!?」ということです。

普通に「never lasting love story」を訳せば「決して続くことのないラブストーリー」となり、最早意図したかったであろうことと真逆の意味になってしまいます。

安直に訂正するのであれば「ever lasting」もしくは「never ending」なんじゃないかな、と思います。

 

個人的には、これは何かしらの「意図」があってのことであり、ただ自分がそれを汲み取れていないだけである、という状況であることを切に願っています。

 

作中の「never lasting love story」で合ってるよバーカという人は、コメント欄にでも理由を添えて書き込んでくれると大変助かります。

 

ちなみに、自分は"英検5級"所持者です。

 

2016.9.10 追記

tonework's様より当該箇所について回答を頂きました。

 

>”ever lasting love story”の間違いでございました。
ムービーの文字に関しては以後のパッチで修正対応の予定でございます。

 

とのことです。

「beloved story」はもう録っちゃてるものなので多分修正ないです。

仕方ないですね...

 

 

『アステリズム』感想

『アステリズム -Astraythem- (Chuablesoft) (2012-06-29)』コンプ。

姉ゲーでしかも結構面白いという評判だったので、姉スキーの自分としては割と期待してましたが、いざプレイしてみると初っ端で「義姉」と判明してちょっと悲しくなりました。

血縁関係があればプラスだけど、でもまぁ義姉でもマイナスにはならないしいいか~、と気を取り直して進めるとかなりのシスコンだったので、早々にOKサインが出ました。物語もタイムトラベル物で、設定もなんか作ってそうで良さげ雰囲気が出てましたね。

 

途中までは。

 

(´;ω;`)

 

そう、重複融合が出てくるまでは...

 

「親殺しのパラドックス」などを回避するために、本作では並行世界について次のような設定がありました。

・過去及び未来へタイムトラベルをすると、別の並行世界に移動するので、元の世界の事象を変えることは出来ない。

(例)世界Aで過去に飛ぶ→Aの過去に行くのではなく並行世界B(≠A)の過去に行く→そこで改変を行っても、AではなくBの過去しか変わらない。また、Bから未来へと再度タイムトラベルを行ったとしても、(問題が解決された)新たな並行世界Cに行くのみであり、タイムトラベルにより元の世界に戻るのは不可能である。

 

つまり、タイムトラベルは別の並行世界への移動と同義であり、元の並行世界に戻らないことで種々の問題の解決を図っているわけです。

 

次に「重複融合」について説明します。これは、

別々の並行世界に居る複数の同一主体が

①同一時点にタイムトラベルする

②同じ強い想いを持っている

の2つを満たす場合に、複数の記憶の和集合を持つ単一の存在としてその時点にタイムトラベルがなされる、というものです。

(例)いま、2つの世界から同じ時点にタイムトラベルする場合を考える。

同じ時間を指定してA世界の太郎くんとB世界の太郎くんがタイムトラベルすると、「A世界の太郎くんはX世界に行き、B世界の太郎くんはY世界に行く」のではなく、「AとBの両方の記憶を持った存在が、指定した時点のX(orY)世界にタイムトラベルしてくる」のである。*1

 

これは非常に由々しき事態です。

タイムトラベルは別の並行世界への移動と同義であり、任意のタイムトラベルの行き先が他のタイムトラベルと異なっていたのに対して、重複融合ではタイムトラベル先が被る場合が出てきてしまうわけです。

 

一番の問題だと思うのは、「これからの未来、常に主人公の身に重複融合が起こり得るので、記憶の同一性が担保されていない」ということです。未来からタイムトラベルしてこられ、未来の記憶を持った自分と混ざってしまう場合があります。

具体的に本作のエピローグ部分について考えてみましょう。

C4世界における現代(2012年)の8/12を指定し、重複融合が起こります。

その時に、主人公が満たしていた条件は次の2つでした。

①2012/8/12の20:00を指定しタイムトラベルをする

②姉への強い想いがある

 

 これで重複融合を果たし、C4世界において主人公はC3の記憶を持ち姉と結ばれHappyEndとなるわけですが、もしC4世界の未来において姉に危機があり、主人公が①時点にタイムトラベルしたらどうなるでしょうか。

答えは、「強制的に未来の記憶を持たされ、2012/8/12から人生やり直し」です。

記憶の連続性が自己の同一性を担保するのであれば、いつ他の記憶を混ぜられ”別人”として2012/8/12からやり直させられるのか分からないまま一生を過ごすわけです。こんなのHappyEndどころか、生きているとさえ言えないのではないかと思ってしまいます。あまりにもひどすぎる結末です。

 

 

さて、このことについて幾つか反論が浮かぶと思います。

・「重複融合は移動する時間の方向が同じでないと起こらない設定にすればよい」

2012/8/12の重複融合は、5日前と1999年という両方とも過去からのタイムトラベルだったから起こった、という設定にすれば、未来からのタイムトラベルでは重複融合は起こらない!やったね!という話ですね。

 

この反論は無意味です。

なぜなら、「C4の未来」→「2012/8/12以前の過去」とタイムトラベルしてから、2012/8/12にタイムトラベルすればいいだけだからです。

 

このことから、「重複融合」が「①同一時点にタイムトラベルする」という条件が比較的に緩いことも実感できます。

 

・「過去時点と未来時点での姉の危機は違うものなので、想いが違うから重複融合は起こらないよ説」 

過去時点では汚染が姉の危機であり、それから救う(救った)という想いであったけれども、未来時点の危機をそれとは違うものにすれば、想いが違うので「重複融合」の②の条件が満たされず、重複融合は起こらない!やったね!という話です。

 

さて、作中起こった2012/8/12の重複融合について思い返してみましょう。

C4世界に元々いた5日前の主人公(姉に汚染の危機なし)と、C3世界1999年主人公(汚染の危機あり)の重複融合でした。つまり、汚染という危機の有無は主眼ではなく、「姉に対する強い想い」が重要なのでした。そして、これは次の文章からも読み取れます。

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だとすると、未来においても主人公が「姉へを心の底から愛して」いれば条件は満たされることになります。なので、未来からの重複融合は否定しきれないでしょう。

 

 

以上のことを纏めると、「タイムトラベルは別の並行世界への移動と同義であるという設定」と「重複融合の設定」に矛盾する部分があったことが問題だったと思います。

(本気で集中できずプレイしてしまったことに起因する自分の拙い理解が悪いのでしょうが、「設定により並行世界間の移動という理論的問題が生じないように上手く構成されている」などのタイムトラベル物としての無矛盾を褒めている感想は理解不能でした。)

 

 まぁここからが本題です。

なんというか、自分はプレイ中に、「極端な例を代入して作中の設定を無理やり検証する」ということをやってしまいます。作中の設定の自由度が高いほど、その入れる例がより極端になってしまって、納得行かない可能性が高くなり、モヤモヤすることが多くなります。「いやいや、これこの場合だと変なことになるんだけど、この設定は一体どうなってんの?」って感じです。

 

なので、自由度を高くしない(タイムトラベルとかを用いない)とか制約を多くする(コードギアス)とかだと、極端な例が狭まるので有り難いです。

そんな余計なことを考えさせないほど設定や説明がきちんとしていたり、物語にのめり込ませるような作品が一番いいんですけどね。こればっかりは自分の問題なのでプレイしてみないと分かんないです。

自分はこういうところが気になるんです、という記事でした。

 

P.S.

素朴に考えれば、九厘は主人公の実母ということになると思います。実姉という可能性もありえますね。ちなみに、九厘が一番好きでした。

 

 

ーーー姉さんに恋をして、 姉さんも恋をして、姉さんと恋をした

 

*1:これがZ世界ではなくCorD世界である理由は、作中でC4に融合されるからです。

エビフライ

大好きな美少女ゲーム声優の一人に桐谷華さんがいます。エビフライが大好物というのは有名であり、その好きさ具合はTwitterアイコンを🍤の画像にしていることからも大変伝わってきます。

 🍤を見ただけでこんな感じですからね。「ふんふんふん!」ってテンション上がってるのが容易に想像できて微笑ましいです。

そんな桐谷さんが、エビフライを食べたらきっとこういう感じなんでしょうね。

「外の衣はすっごいサックサクなのに!中はぷりっとしてて、とってもおいしゅうございます~!おいしい...おいしいなぁ( ´ ▽ ` )作ってくれた人、ありがとうございますヽ(´∀`)ノ」

美味しさも、本人が幸福そうだという気持ちも、よく伝わってくる感想だとは思いませんか?こういうのが世間一般でいうところの「感想」なんだと思ってます。

(オタクが勝手に考えて勝手に言わせていることの気持ち悪さはここでは置いておきます。)

 

 ところで、自分は「感想」を書くのがとても下手です。すごい苦手意識があります。だから「感想」を書く努力をしてみるブログを始めたわけなんですけどね。

なんというか、例えばゲームをプレイした時にいざ感想を書こうとすると、「思ったこと」というよりも、「考えたこと」であったり、物語構成などの「事実」を書くことに終止してしまうみたいです。

 

極端な話、先のエビフライでいえば、

「このエビフライ、外は衣!中はえび!おいしかった!」

「衣は▲▲産の小麦粉だからこんな特徴があって~~、海老は△△の海で採れたやつだから~~

みたいになるわけですよ。

 

ひとつ前の『祝姫』の記事もそうなんですが、大部分がこんな感じになっちゃってました。

 

いや、自覚してるんなら意識して「感想」を書けよって話なんですけど、どうやら自分にとって「思ったこと」は「考えたこと」と比べてそこまで強く書きたいという気持ちが湧くものではないらしいんですよね。

まぁ、「思ったこと」を思うままに書いたら、前後の繋がりが無さ過ぎて読むに耐えないシロモノが出来上がってしまって、それが自分で納得出来ないというのが一番大きな理由っぽいんですけど。

 

上手い感想を書く人たちが、どういうことを「思って」そういったものを書いているのか凄い気になります。もしかして、そういう事を「考えている」時点で駄目なんですかね?

実のところ、「感想」ではなく「事実(っぽいもの)」に終止してしまい悩んでいる人は他にも割りといるんじゃないかと希望的観測を述べたところで、今回は筆を擱きたいと思います。

 

終わりです。

 

『祝姫』感想

「祝姫(非18禁) (DMM) (2016-01-29)」メッセージ既読数100%

 プレイ中には没入が阻害された要因もあって(完全に自分のせい)、周りが絶賛するほどか?とか思っていたんですけど、色々書くために設定とか丁寧に整理していくと筋の通った納得の行く説明が自分の中で出来たので、プレイ後の今は結構良かったなぁと思っています。

序盤から中盤、だいたい6章辺りまでは「声優さんの演技すごいな~~これからどうなるんだろう?ワクワク(*´ω`*)今のところ80点だけど以降の展開では85以上もあり得るぞ~~楽しみ~」って感じでした。

それ以降は「ふむふむ、現実で起こっている問題が、序盤の霊障で示唆されていて、それを回収していく感じなのか。ひぐらしでいう出題編→解答編みたいな流れみたいだな~。扱う問題も想像以上に重いところがあって、結構心が抉られる!」という感じでした。

自分にとって強烈に刺さるような+αがなかったので、記憶には残るけれども記念には残らなかったという印象です。グロとか生理的嫌悪感を抱くようなものが苦手というのもありましたね。

 

さて、今回は「全体の構成」について書いていきたいと思います。

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前半で提示された物語群が後半の展開や問題を示唆、象徴していたというオーソドックスな構成です。

「04.痕姫」が途中に挿入され、「06,07,08」は順不同であったので、どれがどれに対応するのか少し分かり難くなっていたように感じました。(最初01ではなくが04が椿子に対応しているのかと思い混乱していた。)

 霊障で白昼夢を見せるという作中の設定を利用して、複数の物語を提示する以上抱えざるを得ないパラレル性を上手く回避して、一つの現実世界として通していたのには少し感心しました。

同じ作者の作品である「ひぐらし」だと平行世界を用いてたんで構成的には一緒なんですけどね。(基本的にこの類の構成は夢や記憶やループや並行世界で達成することが多く、今回は夢に当たるのだが、そのような物語を提示する夢を見るきちんとした理由が、霊障という「煤」に強く関連する設定で与えられていたのが良かった。)

 それでも、「04.痕姫-10.シャチホコ・グレートデイズ」の存在意義が薄かったり、上の画像の線の対応がぐちゃぐちゃなので綺麗になるように番号配置したほうが良かったなぁと思ったりと、隔靴掻痒の感があるのは否めないかなぁと

そういうところも詰まっていると自分にとってかなりプラスになり得たので、ちょっと惜しかったです。

あ、後、せっかく声優さんの演技が凄いのに、2016年のゲームにも関わらずボイスカットオフ機能がないのはかなり不便でした。次回作があれば必ず実装して欲しいです。

 

((本当は「呪いの煤」の設定についてプレイ中に気になってしまって没入しきれなかったんですよね。プレイ後に頑張ってバックログ調べてスクショ撮って自分なりに纏めたら、作中で提示されていた情報から気になった部分に納得の行く解釈が出来たので、長々と書いていたのがあえなく没になりました。悲しい。))

 

2016/8/22 追記

・椿子ルートについて

『祝姫』では、序盤の物語群は白昼夢のなか不可解なままで終わってしまうが、実はそれが各ヒロインの抱える現実世界での問題を象徴していた、という構造になっており、これは各ヒロイン√をプレイした時点で明らかになります。

(前半プレイ時には夢か現実かの判断が完全にはつかず、各物語が劇的な終わり方をするので、章ごとの繋がりが唐突でぶつ切りになっていたように感じてしまったのは自分だけでしょうか...)

いま、対応の例を挙げると

鼎√:「02.幻姫」↔「06.鼎」

莉里杏√:「03.歌姫」↔「07.莉里杏」

であり、この2人についてはプレイした人にはすぐ納得してもらえると思います。

 さて問題なのは、椿子についてです。いろいろな感想に目を通させてもらいましたが、この椿子√の対応については不鮮明だとかよく分からないという意見がぽつぽつありました。

全くもってその通りだと自分も感じたので、どういう要因で分かり難くなっているのかについて少し説明を試みてみようと思います。

 

・椿子:「01.呪姫」↔「08.椿子」の対応が分かりにくい理由

一番の要因は、他の√では主に一つのことを象徴していたのに対して、椿子の√では主に2つのことを象徴していたことになるかと思います。その2つのこととは、

①椿子が幼女時代にパパおじさんからされた仕打ち 

②涼のお嫁さんになりたいという夢があること

です。これらが複合的に絡み合っており、「01.呪姫」が一番最初に置かれていたり、「04.痕姫」の存在することもあって、分かりにくさに拍車をかけています。

また、「01.呪姫」において以下のことを前提としたいです。

ⅰ.「01.呪姫」は椿子が霊障を受けて見た白昼夢である。

ⅱ.椿子は現実世界において、①の記憶を封印していた。

 

・①について

単に①を意味したいのであれば、「01.呪姫」において風呂場で怪物に嬲られていた人形の顔は椿子でよかったはずです。しかし、実際にやられていたのは十重でした。

これは、「01.呪姫」の時点において椿子がこの仕打ちを記憶から封印していた(ⅱ)以上椿子であってはならないのでやむを得ません。

では、なぜ十重だったのでしょうか?これは、「01.呪姫」が最初の章であり十重しか他にいなかったから、というのもあるでしょうが、②にも無関係ではないと思います。

 

・② について

「01.呪姫」が椿子を苦しめるような内容の白昼夢である(ⅰ)ので、②の夢が叶わない、つまり、椿子が複数回忠告したのにも関わらず涼が他の女に取られてしまう展開になるのは自然なことだと思います。

この時、他のヒロインが「01.呪姫」の主眼となる必要があり、これが最初の物語である「01.呪姫」で成されていることにより、「01.呪姫」が椿子の話であるということを一層分かり難くさせているように感じます。

(自分もはじめは『「01.呪姫」=十重の話or単なる導入』だと考えていました。)

また、作品冒頭の右も左もわからない状態で十重にスポットライトを当てることで、十重=メインヒロイン感をプレイヤーに与える効果もあったかと思います。

 

・結局の構図

「椿子は記憶を封印しているので嬲られるのは椿子以外の必要がある(①)」↔『「01.呪姫」は椿子の物語だが主眼は十重』↔「悪夢なので椿子以外のヒロインが涼と結ばれんとする(②)」

 

 つまり、「01.呪姫」において主眼を十重に置き、そのことをハブとして①と②の2つことを象徴していたということが、椿子√の対応を分かりづらくさせていた要因ではないかなと。

まぁ個人的には一つの物語で2つのことを意味するのは上手いなと思うんですけどね。

 

終わりです。

 

 

 

 

<(>ω<)>

<(>ω<)>「よーし、今日もびりっとがんばるぞーっ!」

(『車輪の国、向日葵の少女』:三ッ廣 さち)

彼女が背負った義務を思うと、今日という日は今日しかないからこそ今日を精一杯頑張ろう、というメッセージだとも取れる。世間にはこの類のものが溢れているが、なんだかちょっとやる気が出てくる。自分にとってはそんな言葉だ。

 

『明日できることは今日やらない』という格言がある。

個人的にこの言葉はかなり好きであり、座右の銘を聞かれた場合はこれを答えようかなと密かに思っていたほどだ。「今日やるべきことは、今日やれるだけやっても終わらないほど多い。だから、今日しかできないことは今日やろう!」という意味だ。どこかで勝手に知って、一人で勝手に納得していた。

 

今日、ひょんなきっかけがありこの言葉について調べてみた。すると、「明日できることは後回しにして今日はもう休んだらよい」というスローライフを推奨するような格言であったことが判明した。

 

なんというかこのオタク、一人で勝手に納得して一人でうんうんいい言葉だ、なんて頷いてたというね。まぁそんなこと気にせず、自分は自分の解釈でこれからも生きていくことにします。

 

「今日できることは今日する」のか「明日できることは今日やらない」のか「明日することを今日する」のか、どれが良いのかは分からないが、とりあえず今日はブログが書けた。

あーだこーだ言っているうちに、今日がまた終わる時間らしい。明日の今日もなんとか頑張りたい。

 

終わり。

『さくらむすび』感想

さくらむすび(CUFFS) (2005-08-05)」を全ルートクリアしました。

前々から友人に強く強く勧められていてやるやる詐欺をしていたので、漸くコンプ出来て一安心です。どれくらいの間名前に「さくらむすび」という文字列が含まれていたのか、もう思い出せません。

「面白かったか」と聞かれると、間違いなく「よかった」と答えられるような作品でした。確かに「よかった」のですが、全√をクリアした後に”不気味”という感覚が一番強く残っているという不思議な経験もしました。その理由は後に書くとして、まず初めてトノイケ作品をプレイして感じた特徴からいきます。 

全編にわたって思春期の不安定で繊細な感情が特徴的かつ丁寧に描かれており、自分の物のように納得できるくらいじくじくと刺さりましたね。

ボイス無しかつ演出も殆ど無しなのですが、作品世界に深く没入できました。撫でるようなタッチで優しく描かれるやりとりは実に心地よく、でもそれ自体は軽妙でテンポ感もあり、と会話の中でキャラクター達の距離感や感情がよく表現されていたように感じます。

優しい世界の中で、可愛らしくいじらしいヒロイン達との心地よい距離感とやりとりが楽しめる、それだけでもう十分に魅力的なものでした。月並みですが、プレイしてよかったです。満足です。

 ちなみに、可憐-桜(True-Happy)-紅葉の順でプレイしました。一番印象に残ったルートは桜Trueで、一番好きなキャラは可憐ちゃんですね。

可憐ちゃんはもうね、むっちゃいじらしくて可愛らしい。ガチ泣きしました。自分にとって、とっても人間らしかったです。推察される裏設定とか知らない段階からずっと1位です。

どのキャラが一番好きかはこれは完全に好みの問題なのですが、どのキャラがその人にとって1位であっても素直に頷ける、そんな印象です。

 では、それほど優しい世界なのになぜ"不気味"に感じたのか、ということについてちょっと書いていきます。

直接的な理由は、紅葉√を最後にやったからでしょう。

散髪の告白のシーンとか、本当に最高でしたよ。でも、他の√だと終盤に色々あったのに、紅葉√の終盤ではそれが全くない。

作中の言葉「化け物」を用いれば、「化け物」についての扱いが殆ど無く終わるということで、『さくらむすび』に横たわっている明確には明かされないなにかを強く意識させられた結果、空恐ろしさがまんま残ったのでしょうね。

大事なのは、この作品では何か重大な物事が明かされないままになっており、またそれに関して匂わせる描写が多々あることで気味の悪さをどこかで覚えたままになっている、ということです。

「繊細な心情描写で感情を学びつつ、優しい世界でいちゃいちゃを楽しめればそれでいい」というのは一つの大正解だと思いますが、まぁ可憐ルートに関しては、不気味に思わせるような隠された何かについてある程度納得できる話があったので、それだけ書いておきたいと思います。

こんなことは注意しておくまでもないでしょうけど、あくまで自分の解釈というか、自分の中では正しいと思っていることなので、そう思って適当に読んで下さい。

 

・金村世津子は部落(川向こう)ないし在日(外国人のような容貌と記述)、もしくはその両方であり、差別の対象であった。

作中でも言いづらい身分の差のようなものとして言及があるので、これはいいでしょう。部落か在日かは、なんというかぼかされていて、わざとどっちとも取れるようにしたという印象を受けました。

 

・可憐は光博と世津子の子供であり、圭吾と異父兄妹である。

これは作中では一切明示されていないですが、非常に説得力のある設定だと思います。

邦彦がどうして瀬良家に養子として迎えられたのかもこれで説明がつきますね。ちょうど楓が不義理の子である圭吾に耐えられず桜を養子にしたように、不義理の子である可憐に瀬良母が耐えられなかったんでしょう。

加えて、この上の設定でやっと腑に落ちたことがあります。それは、圭吾と可憐が付き合うことに光博が非常に強く反対したり、邦彦が強く忠告したりした理由です。

「圭吾の生まれの卑しさだけでこんなに強く反対されるものか?」という違和感がプレイ中にはあったので、これがストンと上手く説明される設定には素直に驚きました。少なくともこの2人に関しては、二段階の反対する理由があったのだろうと思います。

 

邦彦は圭吾と可憐が異父兄妹だということに当たりをつけていた。

養子として迎え入れられた邦彦だからこそ、その理由について敏感に感じ取らざるを得なかったのかなと。異父兄妹ということを知っているということにすればうまく説明のいく言動があるというのもありますね。

個人的な推測ですが、可憐ちゃんが家から持ってきた台本の内容で確信まで至ったのではないかと思っています。

可憐ちゃんについてですが、これは気が付いていたか分からないです。個人的には気がついていなかったんじゃないかと思いますが、気が付いていたとしても桜との教室でのあのやりとりに深みが増すのでいいかな~と。

 

・桜と可憐の対称性

{兄:圭吾(世津子の息子)、妹:桜(養子)}

{兄:邦彦(養子)、妹:可憐(世津子の娘)}

桜←圭吾と実妹だと思っていたが、実妹ではなかった。*1

可憐←圭吾と赤の他人だと思っていたが、実は実妹だった。

 

なんか綺麗だなと思いました。

 

以上です。

さくらむすび」の象徴するものや、作品自体のテーマとかは、プレイしたその人が感じたものそのままで良いと思っているので、特には書きませんでした。

*1:自分は桜と紅葉が実姉妹説を支持するので、可憐と桜が双子説は今回は無視します。